雨の日に自転車通勤をして、体が濡れてしまうと、体温低下による疲労の増加や集中力の低下など、到着後の業務効率にも影響を及ぼします。
また、衣類や荷物が濡れることで着替えや乾燥の手間が生じてしまい、大きな負担につながることもあります。
一方で、
- 交通費を削減したい
- 車を運転することは難しい
- 雨の日も運動のために自転車に乗りたい
- 公共交通機関が混雑する雨の日こそ自転車で通勤したい
といった人も多いはず。当記事執筆者も、雨の日も、自転車で移動しています。
実は、適切な装備と事前準備をしっかりとしておけば、雨により、体やかばんなどが濡れないようにすることは可能です。
ただし、完全に濡れないことを目指すのではなく、濡れることを想定した上で被害を最小限に抑え、到着後すみやかに通常の状態へ戻せるようにすることが重要といえます。
雨の日に自転車通勤をする際、どんな対策が望ましいのか。私が実際に実践していることをもとに、注意点も含めて、解説していきます。
雨の日の自転車通勤で濡れる原因

雨の日の自転車通勤における対策を述べる前に、まずは、体などが濡れる原因は何なのかについてまとめました。
| 濡れる要因 | 内容 |
|---|---|
| 上からの雨 | 通常の降雨、信号待ち中の浸水、フードの隙間からの侵入 |
| 下からの跳ね水 | タイヤが巻き上げる水、路面の水たまり、泥はね |
| 横方向の水 | 風を伴う雨、車両通過時の水しぶき、横殴りの雨 |
| 内側の汗 | レインウェア内の蒸れによる発汗、通勤中の体温上昇 |
このように、自転車通勤における濡れる原因は、単純に上空からの雨だけではなく、走行環境や身体の発汗など複数の要素が重なって発生するのです。
つまり、体が雨に濡れない対策だけではなく、それ以外の対策も行うことによって、通勤後の不快感を防ぐことができるのです。
また、とりわけ、暑い時期は、レインウェア内が蒸れるということにも注意が必要です。
さて、これからは、雨の日の自転車通勤について、服装、靴、かばんの3点の対策について、それぞれ、詳しく述べていきますので、ご参照ください。
【服装】レインウェア(カッパ)を着よう

まずは、雨の日の自転車通勤をするうえで、体が雨に濡れないようにする対策(服装)について解説していきます。
雨合羽を着用することによって、雨で体が濡れることを防げますが、重要なのは、その雨合羽の種類です。
雨合羽には、大きく、下記の3種類、あります(上の画像も参考にしてください)。
- レインポンチョ
頭からかぶる形状で、袖がない、もしくは簡易的な作りになっているのが特徴です。フェスや遊園地などで手軽に使われることが多い一方、風の影響を受けやすく、生地がめくれやすい傾向があります。また、下半身の防御が弱いため、走行時は足元が濡れやすく、自転車通学・通勤にはあまり適していません。 - レインコート
全身を覆う長めの丈が特徴ですが、多くは上着のみでパンツが付属しません。そのため上半身は守れても、走行中の跳ね水によってズボンや靴が濡れやすい点に注意が必要です。徒歩移動には適していますが、自転車利用では防御範囲がやや不足します。 - レインウェア(レインスーツ)
上着とパンツが分かれたセパレート構造が特徴で、上下をしっかり覆える点が大きな利点です。雨の侵入を防ぎやすく、跳ね水対策にも有効なため、長時間の自転車通学・通勤に最も適したタイプといえます。
自転車通勤でおすすめできるのは、「レインウェア(レインスーツ)」です。
レインウェアにおけるおすすめの機能
ここからは、レインウェアにおけるおすすめの機能について述べていきます。
最低限のおすすめ機能として、
- 防水透湿素材
- 視界が確保されるフード形状
の2点を挙げておきます。
なお、他にも、おすすめ機能は多くありますが、それらを求めてしまうと、必然的に、高価なレインウェアしか購入できなくなります。
レインウェアといっても、高価なものから安価なものまで、様々な種類のものが出回っていますので、ご自身に見合ったものを購入してみてください。
防水透湿素材
単なる防水素材のみでは内側が蒸れ、結果として汗で濡れてしまいます。特に、夏の暑い時期は、かなり不快に感じられます。
そこで、おすすめなのが、透湿性能のある素材でつくられているレインウェアです。
透湿性能のある素材は水の侵入を防ぎつつ湿気を外に逃がしますので、レインウェア内が蒸れて不快に感じることは少なくなります。

目安として「透湿防水」と明記された製品が適しています。
視界が確保されるフード形状
フードについては、最低限、
- ツバがついている(ツバの部分が透明なものはより視界が確保しやすい)
- アジャスター/調整ひもがついている
の2点は、意識して購入するのが望ましいです。
また、自転車に乗る人は、ヘルメットの着用が努力義務化されています。
ヘルメットを着用する方は、ヘルメットの上から被る前提で形状設計されたフードとなっていることも確認しておきましょう。
リュックを背負ったまま着用できる仕様の「レインウェア(レインスーツ)」も市販されています。
前かごのない自転車を使用しており、荷物を袋に入れて防水する方法が取りにくい場合は、このようなバックパック対応タイプの雨具が有効です。
ただし、販売されているすべてのレインウェアがリュック対応というわけではありません。購入時は「リュック対応」「バックパック可」などの表示やサイズ仕様を必ず確認してください。
※各ECサイトのリンクをクリックすると、「レインウェア」と検索したときに、検索ページが表示されます。
※おすすめ品を紹介することも検討しましたが、ECサイトの上位に表示されているものは、基本的には、品質に問題はありません。
※ちなみに、ピンからキリまで様々なものを購入したことがある当記事執筆者の所感ですが、1万円以上のものは非常に性能が良いです。ただ、自転車通勤のみの方にとっては、数千円くらいのもので十分だと思います。
【靴(くつ)】足元の防水も重要

続いて、靴についてです。
自転車通勤において足元が濡れるということも、軽視できません。
足が濡れると体温が奪われやすく、冷えによる疲労感や集中力低下につながります。
また、靴内部が湿った状態は不快感が強く、長時間そのまま過ごすことは業務効率にも影響します。
路面に近い自転車は跳ね水の影響を強く受けるため、足元についても、下記のような、入念な対策が必要です。
- 防水シューズ or レインブーツを履く
- レインシューズカバーを装着する
- 替えの靴下を準備する
それぞれ、詳しく見ていきます。
防水シューズ or レインブーツを履く
まずは、防水シューズやレインブーツを履いて、自転車通勤をすることをおすすめします。
防水シューズは、外観が一般的なスニーカーやビジネスシューズに近いモデルも多く、通勤時の服装になじみやすい点が利点です。
外からの水の侵入を防ぎつつ内部の湿気を逃がす構造のものを選べば、長時間の着用でも蒸れを抑えやすくなります。
一方、レインブーツは防水性能そのものは非常に高く、豪雨時や水たまりの多い環境では安心感があります。
水深のある場所でも浸水しにくいため、短距離移動や悪天候時の使用には有効です。ただし通気性が低く蒸れやすいこと、脱ぎ履きの手間、職場での保管場所の確保など、日常通勤では扱いにくい側面もあります。
職場に履き替え用の靴を置けたり、通勤距離が短かったりする場合に適しています。
レインシューズカバーを装着する
レインシューズカバーという商品があることご存じでしょうか。
レインシューズカバーは、履いている靴の上から装着する防水カバーのことで、通勤時のみ雨対策をしたい場合に有効です。
職場到着後に外せば通常の靴として使用できるため、服装規定のある職場でも対応しやすい方法です。
底面まで覆うタイプは浸水を防ぎやすい一方、滑りやすさや耐久性については、注意が必要でもあります。
携帯しやすい折りたたみ型は、急な雨への備えとしても役立ちます。

使い捨てのレインシューズカバーも販売されています。
替えの靴下を準備する
どれだけ対策しても完全に浸水を防ぐことは難しい場合があります。
特に豪雨や長距離通勤では、靴内部の湿気が残ることもあります。
替えの靴下を持参するか、職場に替えの靴下を常備することで、到着後すぐに足元の不快感を解消でき、冷えの防止にもつながります。
ただし、靴の中がビショビショに濡れていれば、替えの靴下があっても無駄に等しいので、靴を濡れないようにする、予備の靴を準備しておくなどの対策も同時にとっておきましょう。
【かばん】前かごがある場合は活用を

最後に、カバン(リュック等)の雨対策はどうすべきか、確認していきます。
雨の日に自転車で通勤する際、普段と同じようにカバンを持ち運ぶと、外側だけでなく中身まで濡れてしまう可能性があります。
実際に、急な雨に遭って、カバンの中のものが濡れてしまった経験がある方も少なくないでしょう。当記事執筆者も経験があります。
そのような事態を防ぐためにも、カバン自体にも十分な防水対策を施すことが大切です。
方法はいくつかありますが、手軽で取り入れやすい対策としておすすめなのが、カバンをゴミ袋に入れて口をしっかり縛り、それを自転車のかごに載せて運ぶ方法です。
袋のサイズはカバンの大きさに合わせますが、目安としては45L以上のものが使いやすいでしょう。大型のビニール袋を、ゴミ袋の代用品として活用することも可能です。
自治体指定のゴミ袋は価格がやや高いうえ、ごみ捨ての際に使うため、通勤用として日常的に使うには負担に感じる場合もあります。
そのため、ホームセンターやAmazonといった通販サイトなで販売されている比較的安価なゴミ袋を活用する方が現実的でしょう。
なお、ゴミ袋は、破れるまで、繰り返し使えます。使用後は、ごみ袋を乾燥させて、何度も使うようにしましょう。
前かごがない場合
近年は、前かごを付けていないクロスバイクやロードバイクで通勤する人も増えています。
しかしながら、ゴミ袋を使った雨対策の方法は、前かごのある自転車でないと実践できません。
そのため、前かごのないクロスバイクやロードバイクを使用している場合は、リュックを背負った状態でレインウェアを着用する、あるいは、リュック用のレインカバーを装着するといった方法で防水を行うことになります。
ただ、雨の日に、レインウェア内でリュックを背負いながら自転車に乗ると、背中が蒸れてしまうこともありますので、注意が必要です。
また、レインカバーをつけていても、横殴りの雨が降ると、隙間から水が入り込む場合がありますので、注意してください。
雨の日に自転車通勤をするうえでの注意点

そのほか、当記事執筆者の経験ももとに、雨の日に自転車通勤をする際の注意点をまとめてみました。
雨の日に自転車通勤をしたことがない人にとっては、意外と、盲点となっているようなことも取り上げておりますので、参照してください。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
傘さし運転はダメ
傘を差しながら自転車を運転する「傘さし運転」は危険行為であり、道路交通法違反として取り締まりの対象になります。
また、いうまでもなく、片手運転になることでハンドル操作やブレーキ操作が不安定になり、とっさの回避行動が遅れやすくなります。
さらに、傘が視界を遮ったり、風にあおられてバランスを崩したりする危険もあります。
雨の日は傘ではなく、レインウェアを着用して両手で安全に自転車を運転するようにしましょう。

いうまでもないですが、雨の日でも、もろもろの交通ルールはしっかりと守りましょう。
普段より速度を控えて走行する
雨の日は、自転車の走行スピードを意識するようにしましょう。
雨天時は路面が滑りやすくなり、とくに塗装された路面、マンホールのふた、側溝の金属製カバーなどは注意が必要です。
晴天時と同じ感覚で速度を出すと、タイヤが滑って転倒する危険があります。
こうした場所では意識的にスピードを落としましょう。
また、路面が濡れているとブレーキの効きが弱くなることがあるため、停止位置に余裕を持ち、早めのブレーキ操作を心掛けることが重要です。
駐輪場から建物までの移動に傘が必要か確認する
駐輪後、職場の建物まで歩く際に屋根がない場合は、追加の雨対策が必要になります。
長い傘を自転車に固定したまま走行するのは危険なため、携帯する場合は折りたたみ傘を選ぶのが安全です。
移動経路に屋根があるかどうかを事前に確認しておくようにしましょう。
職場でのレインウェアの保管方法を考えておく
次に、到着後のレインウェアの扱いについてです。
駐輪場に屋根がある場合は、自転車に掛けて乾かすなどの対応が可能です。
しかし、屋根のない駐輪場では、そのまま置いておくと再び雨に当たり、内側まで水が染みてしまうことがあります。
そうした場合は、建物に入る前に表面の水滴を軽く払い、タオルで水気を拭き取ってからビニール袋などに入れて持ち込むと、周囲を濡らさずに済みます。
その後は、ロッカーや更衣スペースなどがある場合は、ハンガーに掛けて、乾かしましょう。
荒天時は無理をしない判断も大切
荒天時は、無理して、自転車に乗らないことも大切です。
大雨、強風、落雷などの悪天候時には、無理に自転車で通勤せず、公共交通機関など別の手段を検討することも重要です。
特に、雷が鳴っている場合、自転車通勤はかなり危険性が高いため、雷鳴が聞こえた場合は速やかに近くの頑丈な建物へ避難するようにしてください。
タオルを持参するのもおすすめ
タオルは、雨天自転車通勤後の快適さを大きく左右する便利なアイテムですので、ぜひ、カバンに入れておくようにしましょう。
レインウェアを脱いだあと、表面についた水滴を軽く拭き取るだけでも乾きやすさが大きく変わります。
特に、フードまわり、袖口、前合わせ部分は水が溜まりやすいので意識して拭くと効果的です。
また、顔や首元、手など身体についた雨や汗を拭くことで、冷えの防止にもつながります。
小さめの速乾タオルを通勤バッグに1枚入れておくと扱いやすく、濡れても乾きやすいため衛生的です。
レインウェアの保管時や着替え時の不快感軽減にも役立ちます。
最後に
雨の日の自転車通勤で本当に重要なのは、「まったく濡れないこと」ではなく、濡れることによって生じる不快感・体の冷え・仕事への支障をどこまで抑えられるかという点です。
強い雨や横殴りの雨、路面からの跳ね上げ水まで完全に防ぐのは難しい場面もありますが、そうしたときこそ、装備と準備次第で負担の大きさは大きく変わります
たとえば、防水性の高いレインウェアを選ぶこと、カバンの中身まで濡れないようにする工夫、替えの靴下やタオルを常備しておくことなど、基本的な対策を積み重ねるだけでも体感は大きく変わります。
これらを整えておけば、多少濡れてしまったとしても「不快で仕事に集中できない」「体が冷えてだるい」といった状態を防ぎやすくなり、雨天時でも現実的かつ安定した通勤手段として自転車を維持することが可能になります。
安全で快適な、自転車通勤を楽しんでください。
