近年、健康志向の高まりとともにヨガを始める人が増えています。スタジオに通う人だけでなく、自宅でYouTubeやアプリを使ってヨガを実践する人も少なくありません。
その目的は、
- リラックスしたい
- 柔軟性を向上させたい
- 姿勢を改善させたい
などなど、様々ではありますが、中には、

ヨガで痩せたい!ダイエットしたい!
と思って、ヨガを始めた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、一方で、「ヨガを半年続けているけど全然痩せない・・・」「思ったより体重が減らない・・・」という声もよく聞かれます。
ヨガで本当に痩せることができるのでしょうか?それとも「ヨガだけでは痩せない」というのが現実なのでしょうか・・・?
この記事では、ヨガとダイエットの関係性を多角的に解説し、ヨガが痩せないといわれてしまう理由、実際に得られる効果、痩せるための取り入れ方までを詳しくまとめていきます。
この記事を見てわかること
- そもそもヨガとは?ヨガの目的とは?
- ヨガで痩せることは難しいことについて
- 痩せるためにヨガを活用することについて
最後までお付き合いください。
ヨガの目的

そもそも、「ヨガ(Yoga)」という言葉は、古代インドのサンスクリット語で「結ぶ」「つなぐ」という意味となります。
したがって、単なる運動やストレッチではなく、心身を統合するためのメソッドということができます。
ただし、現在は、健康や美容、フィットネスをも目的に、ヨガは多様なスタイルで実践されています。
そのうえで、ヨガの目的について、
- 身体的な目的
- 精神的な目的
- 健康・ライフスタイル改善の目的
- 精神修養・自己探求の目的
の4つにわけて整理します。
身体的な目的
ヨガのポーズや呼吸法を通じて、体を健やかに保つことができます。具体例は下記の通りとなります。
- 柔軟性の向上
筋肉や関節を伸ばし、可動域を広げられます。 - 筋力の強化
自重を使ったポーズで体幹やインナーマッスルを鍛えられます。 - 姿勢の改善
背骨や骨盤の歪みを整え、猫背や反り腰を防ぎます。 - 血流・代謝の改善
ポーズと呼吸で全身の循環を促進します。
結果として、肩こり・腰痛・冷え・むくみの改善など、体調不良の予防・改善に大きく貢献します。
精神的な目的
ヨガは古来より「心を整えるための実践」として大切にされてきました。具体例は下記の通りとなります。
- ストレス解消
呼吸と集中によって心が静まり、不安や緊張が和らぎます。 - 感情のコントロール
イライラや不安に流されず、冷静に物事を判断できます。 - マインドフルネス
今この瞬間に意識を向けることで、余計な雑念を手放せます。 - 自己肯定感の向上
自分の体や心と向き合い、「そのままの自分を受け入れる」姿勢が育まれます。
このように、ヨガは精神的な安定と内面の成長を促す効果を持ちます。
精神修養・自己探求の目的
伝統的なヨガでは、最終的な目的は「解脱(モークシャ)」、つまり心身の束縛からの解放です。具体例は下記の通りとなります。
- 瞑想によって心を静め、執着や欲望から自由になる。
- 「自分と宇宙はつながっている」という境地を体感する。
- 生きる意味や本当の自分を探求する。
この目的は宗教的・哲学的な側面を含むため、日本において、すべての人が重視しているとはとても言えません。
しかし、ヨガを続けるうちに「自分を深く理解できるようになった」「心が穏やかになった」と感じる人は少なくありません。
健康・ライフスタイル改善の目的
現代人がヨガを始める理由として最も多いのが「健康のため」です。上記と関連することもありますが、具体例は下記の通りとなります。
- 睡眠の質を高める
- 自律神経を整える
- ホルモンバランスを改善する
- 食生活や生活習慣への意識が高まる
ヨガスタジオに通うなどして、ヨガをしている人にとっての目的は、やはり、健康のためだと思います。
ここで気になるのが、ヨガによって痩せることは可能なのかということです。この点について、これから、詳述していきましょう。
ヨガで痩せるのは難しい!なぜ?

結論から申しますと、ヨガだけで痩せること、ダイエット効果を期待することは難しいです。
※ダイエットとは、本来、体調維持のための食事制限のことを指しますので、これ以降、「体重を減らす」という意味で「ダイエット」という言葉を使うのは控えます。
その理由は、下記の通りです。
- 消費カロリーが少ない
- ヨガ実施の頻度や強度が合っていない
- 食生活改善が伴わない
特に、ヨガの実施は、消費カロリーが少ないということが重要です。詳しく見ていきます。
消費カロリーが少ない
痩せるために大切なことは、消費カロリーを増やすことです。
しかし、ヨガは、ジョギングや水泳などと比べると、運動強度が低いため、残念ながら、消費カロリーも少なめです。
体を動かすタイプのヨガ(ハタヨガ)では、1時間あたり約120kcalから多くても200kcal程度しか消費できません。
これは軽いウォーキングと同じか、それ以下のレベルです。短期間で体重を落とすには不十分と言えるでしょう。
METS(メッツ)=「運動の強度を数値化した指標」を使って、消費カロリーの計算ができます。
消費カロリー(kcal)= 体重(kg)× METS × 運動時間(h)× 1.05
ヨガ(ハタヨガ)のMETSは「2.5」です。
体重60kgの人が1時間、ヨガを行った場合、上記の計算式より、157.5kcalを消費することができます。
ヨガ実施の頻度や強度が合っていない
ヨガの消費カロリーは、前述した通り、少ないです。
そのため、ヨガのみで痩せようと思うと、ヨガの実施頻度や実施時間を増やして、消費カロリーも増やすことが不可欠です。
また、動きを連続的に行う「パワーヨガ」は、ヨガの中でも、比較的、多くのカロリーを消費することができます。
※パワーヨガの他、アシュタンガヨガも、やや運動強度が高いヨガとなります。
ヨガを実施している安心感から、実施頻度や強度を気にしないという人もいるでしょう。
しかし、痩せることが目的であれば、頻度も強度も上げていかなければ、あまり意味がありません。

痩せることが目的であれば、ヨガよりも、ランニングや水泳の方が効率的といえます。
食生活改善が伴わない
体重を減らしたいようであれば、摂取カロリーと消費カロリーのバランスを下記の通りにする必要があります。
摂取カロリー<消費カロリー
したがって、痩せるためには、消費カロリーを増やすだけでなく、摂取カロリーを減らすことも重要です。
しかし、ヨガを始めた安心感から「運動したから食べても大丈夫」と食事量が増えてしまうケースも少なくありません。
先ほども申しました通り、ヨガ単体では消費カロリーを大幅に増やすことは難しいため、食生活を改善しないと痩せることは難しいです。
痩せるためにヨガを活用する

ヨガはランニングなどのように、短期間で大きくカロリーを消費できる運動ではありません。
その一方で、ヨガは、間接的に、痩せるために役立てることは可能です。その理由は、下記の通りです。
- 基礎代謝アップ
- 良質な睡眠
- 見た目の変化
ヨガの継続によって、代謝・自律神経・ホルモン・精神面に作用し、長期的には痩せやすい体と生活習慣をつくるサポートをしてくれます。
詳しく見ていきます。
基礎代謝アップ
基礎代謝とは、無意識に行っている生命活動で必要になるエネルギー消費のことです。
基礎代謝が高いほど、接種した栄養をエネルギーとして消費できるようになるため、痩せやすい体つくりにつなげられます。

基礎代謝を大きくするためには、筋トレが有効ではありますが、ヨガはどうでしょうか?
ヨガのポーズは、インナーマッスル(体の奥深くにある筋肉)を鍛えることができます。
インナーマッスルは、基礎代謝を司る大切な筋肉でありますため、鍛えることで基礎代謝が向上します。
そのため、ヨガの継続的な実施は、痩せやすい体質への変化を促すことができます。
良質な睡眠
ヨガの深い呼吸や瞑想は副交感神経を優位にし、体がリラックス状態になるため、眠りに入りやすい心身の状態を整えてくれます。
痩せようと思えば、運動や食事制限が思い浮かびますが、実は、意外にも、下記の理由で、良質な睡眠も重要です。
- 睡眠中に分泌される 成長ホルモン が脂肪燃焼・筋肉修復を促す
- 睡眠不足で乱れる 食欲ホルモン(レプチンとグレリン) のバランスが整う
- 深い睡眠は日中の活動エネルギーを高め、結果的に消費カロリーが増える
ヨガは、直接的にカロリーを消費する運動ではありませんが、睡眠を改善して痩せやすい体を作ります。
ヨガは、睡眠の質向上という観点で、間接的に、痩せる効果があるといえます。
見た目の変化
実際の体重は大きく変わらなくても、痩せて見えるというプロポーション改善の効果は大いに期待できます。
というのも、ヨガは姿勢を整える効果が非常に高いです。
背骨や骨盤の歪みを正すことで、
- ウエストが細く見える
- 下腹ぽっこりが改善する
- 背中やデコルテがスッキリする
など、見た目の変化が期待できます。
また、特にホットヨガやリンパを意識したヨガは発汗を促し、体内の余分な水分や老廃物の排出を助け、むくみの解消にもつなげられます。
体重減少による健康増進の目的ではなく、見た目の改善という美容目的でヨガを取り入れたいという方は、ヨガを継続的に行うことをおすすめします。
ヨガで減量に本気で取り組みたいならば

ヨガだけでは痩せにくいですが、ヨガによる減量に本気で取り組みたいならば、以下の点を意識してみてください。
- 食事管理と組み合わせる
ヨガの前後は暴飲暴食を避け、消化に良い食事を心がけましょう。。 - 有酸素運動をプラスする
ランニングなどと組み合わせると消費カロリーが増えます。 - 筋トレと組み合わせる
筋肉量を増やして基礎代謝を上げるとより痩せやすくなります。 - 習慣化する
週に2〜3回以上継続することが重要です。
本気で痩せたいならば、結局は、食事管理や他の運動との組み合わせということも必要になってきます。

ヨガだけに頼るならば、短期的な体重減少は難しいです。ヨガの効果は長期的に現れるものが多いためです。ご注意ください。
最後に
ヨガは消費カロリー自体は少ないため、残念ネガら、単独で劇的に痩せる運動ではありません。
しかし、ヨガには「基礎代謝を上げる」「睡眠を改善する」などといった、痩せるための体つくりに役立つ効果が数多くあります。
そのためヨガをうまく取り入れれば、痩せやすい体質作りと生活習慣の改善につながります。
減量を本気で考えるなら、ヨガだけに頼るのではなく、食事・有酸素運動・筋トレと組み合わせて取り組むことが最も効果的です。
短期的な減量は難しいものの、リバウンドしにくい健康的なダイエットを実現できるのがヨガの最大の魅力です。
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