ここ数年、パーソナルトレーニングやパーソナルジムという言葉を聞く機会が格段に増えました。
芸能人やモデル、アスリートが通っているというイメージもあり、

短期間で理想の体を手に入れたい、自分に合ったトレーニングをしたい
と考える人に人気のサービスです。
その一方で、インターネット上などでは、
- パーソナルトレーニングなんて意味ない
- お金がもったいない
- 自分でもできる
といった否定的な意見も散見されます。
実際、料金は決して安くなく、2ヶ月で20〜30万円、長期になると50万円を超えるケースも珍しくありません。
しかし、本当に、パーソナルトレーニングはもったいないと言えるのでしょうか?考えていきます。
ただ、結局のところは、「もったいない」と感じるか、「意味がある」と感じるかは、自分自身の目的と姿勢次第で大きく変わるということを、先に、お伝えしておきます。
それでは、見ていきます。
パーソナルトレーニングの基本

まずは、そもそも、パーソナルトレーニングに関する基本的な事柄について、ごく簡単に述べていきましょう。
パーソナルトレーニングとは
パーソナルトレーニングとは、専門知識を持つトレーナーが、利用者一人ひとりに合わせたトレーニングや食事指導を行い、目標達成までをマンツーマンでサポートするサービスです。
利用者の目的は、
- 筋肉を増やす
- ダイエットする
- 姿勢を改善する
- 健康的な体をつくる
- 大会に出場する
など多岐にわたります。
なお、パーソナルトレーニングのサービスを提供しているジムのことを「パーソナルジム」と呼びます。
一般的な流れ
パーソナルジムにおいて、入会前からトレーニング実施・目標達成までの流れは、概ね、次のようになっています。
- カウンセリングで目標・生活習慣をヒアリング
- トレーナーが個別プランを作成
- マンツーマン指導(フォーム指導・重量設定・進捗管理)
- 食事指導や生活改善サポート
- 定期的な測定・修正を経て成果へ導く
つまり、パーソナルトレーニングとは、「トレーニング+管理+教育」を一体化させた包括的なサポートです。
普通のジムとの違い
普通のジムとの違いは、概ね、以下の表のようにまとめることができます。
普通のジム | パーソナルジム | |
---|---|---|
指導方法 | 基本的には自主トレ。希望すれば、オプションで有料指導。 | トレーナーがマンツーマンで指導。 |
継続性 | 自分の意思に左右されやすい。 | トレーナーとの約束があるため継続しやすい。 |
設備 | 特に、フィットネスクラブは多彩。 | 基本的には、筋トレ用器具に特化。 |
食事指導 | 基本的にはない。有料オプションで提供しているところも。 | 多くのジムで提供される。 |
料金 | 月額3,000円~15,000円程度。 | 2~3か月で20万円~30万円。 |
普通のジムでは、自分でトレーニングメニューを考え、マシンの使い方も自己流になりがちです。
一方、パーソナルトレーニングでは、目的達成に最短距離で進むための「伴走者」が常に隣にいるという点が最大の特徴です。
関連記事パーソナルジムとは?メリット・デメリットや普通のジムとの違いも解説(内部リンク)
「もったいない」「意味ない」と言われる理由

パーソナルトレーニング・パーソナルジムに関する基本的な事柄を簡単に確認しましたので、ここからが本題です。
パーソナルトレーニングは、たびたび、「もったいない」「意味ない」「効果ない」などといわれることもあります。
まずは、そのようにいわれる要因について、考えていきます。その要因は簡単です。次の2点です。
- 料金が高すぎると感じるから
- 効果が実感できない人もいるから
この2点について、述べていきます。
料金が高すぎると感じるから
パーソナルジムの料金は、一般的に以下のような水準です。
- 2ヶ月集中プラン:20〜30万円前後
- 継続型(月4回):月3〜6万円前後
- オンライン型:月1〜2万円前後
この金額を見て「高い」と感じる人は多いでしょう。
特に、24時間ジムなら月7,000円ほどで通えるため、「自分でやればいいのでは?」と考えるのも無理はありません。
人は目に見える成果がすぐに出ないと、投資に対して不安を覚えます。
トレーニングも1〜2回で劇的な変化は起きません。
例えば、1ヶ月頑張っても体重が1kgしか減らなければ、

20万円も払ったのにこれだけ?
などと感じてしまうのです。
また、SNSなどでは「自分で筋トレして成功した人」の情報が溢れており、比較してしまう心理も働きます。
「無料で情報が手に入るのに、わざわざお金を払うのはもったいない」という意識が強まっているのです。
効果が実感できない人もいるから
どんなに優れたトレーナーでも、利用者の行動や意識次第で成果は変わります。
以下のような人は、パーソナルトレーニングを「意味ない」と感じやすい傾向にあります。
- トレーナーの指示を守らない(特に食事管理)
- トレーニング日以外に全く動かない
- モチベーションが低く、習慣化しない
- 目標が非現実的
つまり、「お金を払えば自動的に痩せる」「トレーナーが何とかしてくれる」という受け身の姿勢では、どんなに高額なジムでも成果は出にくいのです。
また、パーソナルトレーニング業界は拡大する一方で、トレーナーのレベル差も顕著です。
国家資格ではなく、民間資格や短期講習で参入できるため、知識や経験が浅い指導者も少なくありません。
「担当トレーナーが合わなかった」「説明があいまいだった」などといった不満が出るのも、この業界の課題といえます。
トレーニングは自分でできる?

ここからは、

トレーニングや食事管理は自分でできるから、パーソナルトレーニングなど、不要だ!
という意見について、考えていきます。
確かに、近年は、YouTubeやSNS、書籍、オンライン講座など、あらゆる媒体で「正しいトレーニング法」や「効果的な食事管理」が発信されています。
その結果、多くの人が「もう自分でできる」「わざわざパーソナルトレーニングを受ける必要はない」と感じるようになりました。
情報が溢れる現代では“知識”そのものを手に入れることは容易です。
しかし、「知っている」と「実践できる」には大きな隔たりがあります。
情報が多いほど「迷い」と「誤解」が生まれ、正しい方法で実践できなくなるリスクが高まっているのです。
この情報過多の時代において、パーソナルトレーニングは「迷いをなくすためのコンパス」のような存在といえます。
情報過多の時代に陥りがちな「自分でできる」という思い込みの危うさと、なぜパーソナルトレーニングが必要とされるのかを、掘り下げていきましょう。
自己流トレーニングの落とし穴 ― 効果が出ない理由
「普通のジムに行けば自分でもできる」と考える人は多いですが、実際には自己流で成果を出すのは難しいです。
特に初心者が陥りやすいミスとして、以下のようなものがあります。
- フォームが崩れている
スクワットで膝が前に出すぎたり、デッドリフトで背中が丸まったりと、間違ったフォームで続けると関節や腰を痛めるリスクが高まります。筋肉に効かせるどころか、怪我によって運動自体をやめてしまう人も少なくありません。 - 負荷設定が不適切
軽すぎる重量では筋肉は成長せず、重すぎる重量ではフォームが崩れて危険です。最適な重量(いわゆるRM値)を自分で見極めるには、知識と経験が必要です。 - 種目選びがバラバラ
YouTubeで見たメニューをそのまま寄せ集めるだけでは、筋肉のバランスが崩れます。上半身ばかり鍛えて下半身が弱い、または反対に脚ばかり太くなるといった“アンバランスな体”になるケースもあります。 - 継続のモチベーションが続かない
1人でトレーニングすると、どうしてもサボりがちになります。「今日は疲れたから」「明日でいいや」と先延ばしにしているうちに、習慣が途切れてしまうのです。
このように、自己流トレーニングには「努力の方向性がズレていく」という構造的な問題があります。
いくら努力しても、正しいフォーム・適切な負荷・効果的な休養が揃わなければ、筋肉は成長しません。
パーソナルトレーニングは「最短で正しい努力をするための時間」
パーソナルトレーナーは、単に「筋トレを教える人」ではありません。
利用者の体の特徴、姿勢の癖、可動域、筋バランス、ライフスタイルなどを分析し、「あなた専用の最適解」を導く専門家です。
例えば、同じ「腹筋を鍛えたい」という目標でも、
- 反り腰の人
- 猫背の人
- 骨盤が後傾している人
では、行うべき種目が違います。
パーソナルトレーニングでは、そうした「個人差」を踏まえて、最短距離で成果を出すための効率化が行われます。
同じ1時間でも、フォーム・呼吸・意識の向け方を修正するだけで、効果は2倍にも3倍にも跳ね上がることがあります。
まさに、時間をお金で買うという考え方がここにあります。
自己流とパーソナルの差は「結果の安定性」
最後にまとめると、自己流でも結果を出すことは不可能ではありません。
しかし、その結果は「一時的」であり、再現性に欠けます。
一方で、パーソナルトレーニングでは、「なぜそうするのか」を理解しながら進めるため、結果が安定し、リバウンドしにくくなります。
つまり、自己流の筋トレは「運任せの努力」、パーソナルトレーニングは「科学的に導かれた努力」と言い換えることができるのです。
その差が数ヶ月後、数年後には圧倒的な結果の違いとなって表れます。
このように、「自分でできる」という考え方は一見合理的に思えても、実際には多くの人が正しい方向で努力できていないのが現実です。
パーソナルトレーニングは、単なる筋トレ代行ではなく、正しい努力を見つけるための時間であるという視点を持つことで、その本当の価値が見えてくるのです。
「もったいなくしない」ためのコツ5選

パーソナルトレーニングが「意味ない」「もったいない」と言われる背景には、誤った期待や短期的な思考、そして利用者側の姿勢の問題があります。
しかし、意識の持ち方を少し変えるだけで、その価値は何倍にも高まります。
ここでは、パーソナルトレーニングを「投資してよかった」と思える経験に変えるためのポイントを、下記の通り、5つ紹介します。
それぞれ、見ていきます。
目標を明確にする
「なんとなく痩せたい」「運動しなきゃと思って」では成果は出にくいものです。
パーソナルトレーニングを始める前に、具体的な目標を設定しましょう。
例えば、
- 3ヶ月後の結婚式でドレスを美しく着こなしたい
- 健康診断での血糖値を正常範囲に戻したい
- 肩こりや腰痛を根本から改善したい
など、数値や期限を決めることで、努力の方向が明確になります。
トレーナーもそれに合わせて最適なプログラムを組めるため、成果が出やすくなります。
トレーナーとの相性を重視する
どんなに知識のあるトレーナーでも、相性が悪いと続きません。
パーソナルトレーニングは共同作業です。信頼関係が築けなければ、正直に悩みを伝えられず、効果も半減します。
初回体験やカウンセリングで、「この人と一緒に頑張れるか」を見極めましょう。
技術よりも「話しやすさ」や「聞く姿勢」があるトレーナーを選ぶことが大切です。

最近では、初回体験セッションや無料カウンセリングを設けているジムが多くありますので、活用しましょう。
短期ではなく長期で考える
短期間で体を変えることは可能ですが、それを維持することこそ本当の価値です。
パーソナルトレーニングは、一時的な減量の場ではなく、習慣を学ぶ場です。
トレーニング期間中にフォームや食習慣を身につければ、卒業後も自分で体を維持できます。
「2ヶ月で終わり」ではなく、「一生使える知識を学ぶ時間」として取り組むと、投資の意味が変わります。
パーソナルトレーニングの本当の価値は、痩せるよりも、続けられることにあります。トレーナーの下で身につけた知識やフォーム、食事の考え方を、卒業後、日常生活に取り入れることが重要です
トレーナーに任せきりにしない
トレーナーの存在はあくまでサポートです。
指導を受けている間だけ頑張っても、家で何もできなければ意味がありません。
セッション中は「なぜこの動きをするのか」「何を意識すべきか」を質問し、理解を深めましょう。
知識を吸収して自分のものにできれば、トレーニングの価値は格段に高まります。

「やらされる」という意識ではなく、「学ぶ」という意識で臨むことが大切になります。
「高い」ではなく「何を得られるか」で判断する
1回あたりの費用だけを見ると、パーソナルトレーニングは確かに高額です。
しかし、正しいフォームや栄養の知識、モチベーション管理などを学べば、その効果は一生続きます。
ケガやリバウンドを防げることを考えれば、健康への投資としてはむしろ安いともいえます。
「価格」ではなく「自分がどれだけ成長できるか」で判断しましょう。費用対効果の考え方が重要です。
まとめ:もったいないかどうかは、自分次第
パーソナルトレーニングが「もったいない」「意味がない」と言われるのは、成果を実感できなかった人や、料金に見合わないと感じた人がいるためです。
確かに、目的が曖昧なまま通っても、満足のいく結果は得にくいでしょう。
しかし、明確な目標を持ち、自分の課題に合ったトレーナーを選び、指導を実践できれば、パーソナルトレーニングは大きな価値を生みます。
身体だけでなく、生活習慣や考え方をも変えるきっかけになることも少なくありません。
結局のところ、「もったいない」「意味ない」と感じるかどうかは、自分の姿勢次第です。
料金をコストではなく、自分への投資と捉えられる人ほど、その効果を最大限に引き出せるでしょう。
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