飲食店やバーなどで、スポーツ中継を流し、お客様にスポーツ観戦を楽しんでもらいたいと考えている関係者の方も多いのではないでしょうか。
サッカーや野球、ラグビー、テニスなど、人気スポーツの試合がある日は、店内で観戦できるということ自体が店舗の魅力になることがあります。
しかし、一方で、注意点もあります。
スポーツ配信サービスの利用を検討している方もいらっしゃるかもしれませんが、当サービスを利用する場合は、個人向けサービスと法人向けの商用サービスを明確に区別する必要があります。
飲食店で不特定多数のお客様にスポーツ中継を見てもらう場合、個人が家庭で利用するための契約をそのまま店舗で使うことはできないのです。
この記事では、利用規約違反や著作権侵害をせずに、飲食店でお客様にスポーツ観戦を楽しんでもらうための方法について、スポーツ関係の事業で権利処理の実務を担当している筆者が解説していきます。
飲食店でスポーツ中継を流すなら「個人向け契約」は使えない

まず確認しておきたいのが、スポーツ配信サービス等の契約形態です。
自宅のテレビやスマートフォンでスポーツを見る場合と、飲食店のテレビでお客様に見てもらう場合では、利用目的が異なります。
個人向けサービスは、基本的に家庭などで個人が楽しむためのものです。
多くのスポーツ配信サービス等は個人向けサービスとして提供されています。利用規約で、営利目的の利用は禁じています。
一方、飲食店では、来店したお客様という不特定多数の人にコンテンツを見せることになります。
そのため、飲食店では、「個人向け契約」は使えません。
飲食店には法人・業務用の契約が必要ということになります。
例えば、DAZNの場合、飲食店・ホテル・インターネットカフェ・ショッピングモール・スポーツジムなどの店舗向けサービスである「DAZN For Business」が用意されています。
飲食店でDAZNを導入する場合は、「DAZN For Business」を導入する必要があります。
詳細はこちら>>【DAZN for BUSINESS】
飲食店で利用できるスポーツ配信・放送サービス

それでは、飲食店をはじめとした店舗が、スポーツ中継を店内で流すにはどうすればいいのか。
難しい権利処理をしなくてもできる気軽な方法としては、大きく分けると、以下の通りとなります。
- ネット配信サービス
- DAZN for Business
- J SPORTSオンデマンドの法人契約
- WOWOWオンデマンドの法人契約
- CS放送
- 地上波・BS放送
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
ネット配信のスポーツサービス
ネット配信の場合、インターネット回線を利用してスポーツ中継をテレビなどに映します。
近年はスポーツ中継のネット配信が充実しており、テレビ放送だけでは見られない大会や試合を視聴できるサービスもあります。
ただし、飲食店で利用する場合は、個人向けサービスではなく、店舗利用を認めた法人向けサービスを選ぶことが必須です。
法人向けサービスを提供しているのは、以下の3つとなります。
- DAZN for Business
- J SPORTSオンデマンド
- WOWOWオンデマンド
つまり、上記以外の配信サービスについては、法人向けサービスを公式に提供していないということになります(詳細は、運営会社にお問い合わせください)。
DAZN for Business
DAZNには、飲食店などの商業施設(店舗)を対象とした「DAZN for business」があります。
飲食店でDAZNのスポーツ中継を流したい場合は、一般家庭向けのDAZNではなく、「DAZN for business」を利用する必要があります。
スポーツ中継を「ライブ」or「見逃し配信」で店舗にて上映可能となります。
料金プランも、小規模飲食店や中規模飲食店など、いくつかあります。
DAZNの強みは、なんといっても、豊富なスポーツコンテンツ。迷ったら、まずは「DAZN for business」を検討してよいでしょう。
特に、Jリーグなどのサッカーの配信をされる場合は、「DAZN for business」が有力な選択肢となるでしょう。
予算や配信内容といった条件に合うかどうか、まずは、お問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。
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J SPORTSオンデマンドの法人契約
J SPORTSオンデマンドにも、飲食店などで利用できる法人契約があります。
J SPORTSの強みは、比較的、ニッチなスポーツも配信していることです。
他の動画配信サービスでは配信がなされていないスポーツも、J SPORTSであれば、配信しているというケースもあります。
一方で、受信している放送番組を直接放映すること、道路往来に面してモニターを設置してはならないことなど、注意点もあります。
法人契約の利用条件をしっかりと確認することが大切です。
WOWOWオンデマンドの法人契約
WOWOWオンデマンドにも、飲食店などで利用できる法人契約があります。
WOWOWは、商業目的でWOWOWを利用する場合には法人契約が必要となります。
WOWOWの強みは、世界が注目する世界最高峰の試合の配信に力を入れていることです。
他スポーツ配信サービスでは配信していない試合もあります。
「見たいスポーツがどのサービスで配信・放送されているのか」を確認したうえで、店舗で利用できる契約を選ぶことが重要です。
一方で、以下のような動画配信サービスは、飲食店での商用利用を前提とした法人向けサービスを提供していませんので、ご留意ください(一例です)。
- Netflix
- Amazon Prime Video
- Disney+
- Hulu
- U-NEXT
CS放送のサービス
ネット配信ではなく、CS放送を利用する方法もあります。
ただし、こちらについても、個人契約はNGです。必ず、法人契約を結ぶ必要があります。
著作権法の規定により、飲食店などの営利目的の店舗であっても、通常の「家庭用テレビ」を使って、CS・BS・地上波の放送をそのまま流すだけであれば、著作権侵害には当たらりません。
ただし、入場料などと称して「テレビを見せる対価」を受け取ることや録画をした映像を上映することは、NGです。
※飲食代は徴収してもOKです。
代表的なものとして、
- J SPORTS(1・2・3・4)
- GAORA SPORTS
- スカイA
- スポーツライブ+
などを挙げることができます。
CS放送を見るためには、CS対応アンテナを設置したり、光回線テレビ・ケーブルテレビを導入したりする必要があります。
詳しくは、スカパーや光回線の提供会社・ケーブルテレビ局の法人契約の窓口にお問い合わせください。
地上波・BSのスポーツ中継
放送されるスポーツの試合は限られますが、地上波・BSの放送を利用する方法もあります。
CSと同様、著作権法の規定より、通常の「家庭用テレビ」を使って放送をそのまま流すことは、著作権上、問題になりません。
何よりも、地上波やBSを活用できれば、追加の費用を要しないことは大きなメリットといえるでしょう。
ただし、ここで注意したいのがNHKの受信契約です。
店舗などの事業所にテレビを設置してNHKの放送を受信する場合、原則として受信契約が必要です。
飲食店経営において、コンプライアンス遵守は重要なことですので、NHKの受信契約については対応しておくようにしましょう。
飲食店でスポーツ中継を流すときに気を付けたいこと

スポーツ中継を店内で流すときに気になるのが著作権でしょう。
個人向けサービスを使うことは絶対NGですが、基本的に、上記サービスの配信や放送の映像をそのまま流すようであれば、著作権の処理は不要です。
ただし、以下のように、気を付けたいポイントもありますので、ここで詳しく解説をしていきましょう。
- 録画映像を後から流すことはできない
- 放送は「家庭用テレビ」で流す
- 客から別途料金を徴収することはできない
- 店舗独自のBGMはスポーツ中継とは別に考える
それぞれ、詳しく解説します。
録画映像を後から流すことはできない
スポーツ中継等を録画して、後から店内で流すことは、ネット配信・放送ともに、原則、できません。
そのため、飲食店でスポーツ中継を流す場合は、放送・配信されている試合を、そのままリアルタイムで流すという利用をする必要があります。
また、そもそも、二次利用自体ができませんので、飲食店において、録画映像の上映のほか、
- 試合映像を切り抜く
- 別の映像と組み合わせる
- 録画映像で店舗独自の動画を作る
- 上記動画を飲食店で再生する
といった利用も、原則、NGとなります。

どうしても二次利用をしたい場合は、権利者より許諾を得る必要がありますが、簡単に許諾がおりることはありません。
放送は「家庭用テレビ」で流す
営利活動を行う飲食店などでも、権利者の許諾なしで、通常の家庭用受信装置(家電量販店などで売っている家庭用テレビ)を使って放送番組を見せることが、著作権法上、できるようになっています。
つまり、例えば、飲食店に家庭用のテレビを設置し、地上波やBSで放送されているスポーツ中継を、そのテレビでそのままお客様に見てもらうという利用は問題ないのです。
一方で、大型スクリーンなど、明らかに家庭用の受信機ではない装置を利用して、スポーツ中継を流すことは、許諾無しではできません。
大型スクリーンを活用したい場合は、別途、当該大会主催者や放送局、及び、音楽著作権者などから許諾を得る必要があります。
特に、パブリックビューイングのようなイベントを実施する場合は、要注意です。
動画配信サービスを活用する場合は、スクリーンなどを活用することも可能であることがほとんどです。
客から別途料金を徴収することはできない
法人向けのスポーツ配信・放送サービスは、飲食店などの店舗で中継を流し、通常の営業の中でお客様に観戦してもらうことを前提としたものです。
そのため、飲食店でスポーツ中継を流す場合、スポーツ観戦をするための料金を、別途、お客様から徴収することはできません。
例えば、「観戦料1,000円」「スポーツ中継視聴料500円」など、試合を見ること自体を目的とした料金を設定して、お客様から徴収することはできません。
一方で、通常の飲食代やドリンク代を徴収することは、もちろん、問題ありません。
飲食代やドリンク代など通常の店舗利用にかかる料金を支払ったお客様が、そのサービスの一環としてスポーツ中継を楽しむという形にしておきましょう。
店舗独自のBGMはスポーツ中継とは別に考える
スポーツ中継を流していると、スタジアムの応援歌や選手の登場曲、会場BGMなどが放送・配信から聞こえてくることがあります。
これらは、基本的には中継に含まれる音声ですので、別途、店舗側で権利処理をする必要は、原則、ありません。
一方で、試合の前後やハーフタイムなどに、店舗側が、応援歌など、独自に音楽を流す場合は、音楽著作権の権利処理が必要となります。
そのため、スポーツ中継の音声と店舗独自のBGMは分けて管理し、店舗独自のBGMを利用する場合は、JASRACなどから許諾を得ておくようにしましょう。

音楽配信サービスについても、個人利用を前提としたものがほとんどです。そうしたサービスを店舗で利用することは不可です。
そのほか、動画配信サービスを活用する場合は、利用規約などをしっかりと確認しておくようにしましょう。
飲食店でスポーツ観戦を楽しんでもらうメリット

ここまでは、実際にスポーツ中継を流すための方法や契約、著作権について説明してきました。
ここからは、飲食店がスポーツ観戦を提供することで、どのようなメリットが考えられるのかについて解説していきましょう。
メリットは、大きく分けて、以下の3点となります。
- 試合を目的とした来店につながる
- 滞在時間が長くなりやすい
- 通常営業とは異なる店舗の魅力を打ち出せる
それぞれ、解説していきます。
試合を目的とした来店につながる
人気のスポーツ大会や注目度の高い試合には、「みんなで観戦したい」という需要があります。
つまり、試合を目的とした来店につなげることを目指すことができます。
自宅で一人で見るのではなく、飲食店で料理やドリンクを楽しみながら観戦することで、普段とは違った時間を過ごせます。
特にスポーツファンにとっては、同じ試合を見ている人と盛り上がれることが店舗で観戦する魅力の一つになります。

売上アップを目指すことも可能です。
滞在時間が長くなりやすい
スポーツ中継を目的に来店すると、試合開始から終了まで店内で過ごすケースも考えられます。
そのため、食事だけを目的とした利用に比べて、店内で過ごす時間が長くなることがあります。
特にサッカーや野球など、一定時間にわたって試合が続く競技では、料理やドリンクを楽しみながら観戦してもらうことで、「食事をする場所」から「スポーツを楽しむ場所」へと店舗の利用目的を広げられる点がメリットです。
通常営業とは異なる店舗の魅力を打ち出せる
飲食店の場合、料理や価格、立地だけでなく、「どのような時間を過ごせるか」も店舗選びの要素になります。
スポーツ中継を楽しめる環境は、通常の飲食店とは異なる付加価値になり得ます。
ただし、スポーツ観戦ができることが、必ず集客や売上につながるとは限りません。
店舗の立地、競技の人気、試合時間、料金設定、告知方法など、さまざまな要素によって、売上への影響は変わります。
店舗のターゲットやコンセプトに合わせてスポーツ観戦を取り入れるようにしましょう。
迷ったらDAZN for Businessがおすすめ

この記事では、飲食店で利用できるスポーツ配信・放送サービスを紹介してきましたが、おすすめは、飲食店やスポーツバーなどの商業施設向けに提供されているのが「DAZN for Business」です。
強みは、スポーツコンテンツの豊富さです。
日本のプロスポーツではJリーグ、AFCチャンピオンズリーグ、プロ野球など、海外スポーツではラ・リーガやリーグ・アン、さらにF1など、様々なスポーツを取り扱っています。
ライブ配信だけでなく、見逃し配信を店舗で上映することも可能です(録画した映像の上映はNG)。
導入面でも、テレビやモニター、インターネット接続、対応デバイスを用意すれば利用でき、CS放送のようにアンテナを設置する必要がありません。
「飲食店でスポーツ中継を流したいけれど、どのサービスを選べばよいか分からない」という場合は、飲食店での利用を前提にしたDAZN for Businessを利用することをおすすめします。
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まとめ

飲食店でスポーツ観戦を楽しんでもらうには、個人向けの動画配信サービスをそのまま店舗で利用するのではなく、店舗・法人向けの契約を選ぶことが重要です。
DAZN for BusinessやJ SPORTSオンデマンドやWOWOWオンデマンドの法人契約、CS放送など、利用できる選択肢はいくつかあります。
店舗で見せたいスポーツや利用方法に合わせて、適したサービスを選びましょう。
スポーツ中継を店内で流すことは、スポーツ好きのお客様に来店してもらうきっかけにもなります。
活用方法によっては、売上アップを目指すことも可能です。
見たいスポーツが見られるかだけでなく、飲食店で適正に利用できるサービスかを確認し、店舗に合った方法を選びましょう。

