1級ラジオ体操指導士でde愛ひろばラジオ体操会及びai彩ひろばラジオ体操会の代表を務めている橋口です。
地域の公園で、時期を問わず、週に8回、地域住民の皆さんとラジオ体操を行っている、ラジオ体操ガチ勢!?です。
近年、「夏休みのラジオ体操がなくなった」「子ども会がなくなったので開催されなくなった」「昔のように毎日はやっていない」といった声を耳にする機会が増えました。
もちろん、全ての地域で夏休みのラジオ体操が廃止されているわけではないのですが、残念ながら、夏休みのラジオ体操が無くなりつつあるのは事実と言わざるを得ないでしょう。
そんな中で、業界では若手、20代の1級指導士の私、なんとかして、ラジオ体操を後世に伝えていきたいと思っております。
ここでは、夏休みのラジオ体操が「なくなった」と言われる理由を整理するとともに、ラジオ体操が持つ価値、そして1級ラジオ体操指導士の私がラジオ体操を未来へ残したいと思う理由についてお伝えしていきます。
最後まで、お付き合いいただけますとうれしいです。
夏休みのラジオ体操はなくなったの?

「夏休みのラジオ体操はなくなった」と感じている方は少なくないと思います。
実際に私がいろいろな人と話をしていると、夏休みにおいては、
- 夏休み最初(最後)の1週間だけ開催する地域
- 土日のみ開催する地域
- 地域イベントとして1日だけ開催する地域
- 夏休みのラジオ体操をやらなくなった地域
が多いことが判明。
夏休みにおいて毎日のようにラジオ体操を実施する地域は減っている印象を抱いています。
一方で、かつての夏休みのラジオ体操といえば、多くの地域で夏休み期間中ほぼ毎日行われるのが一般的でした。
朝6時30分頃になると、近所の公園や学校の校庭へ子どもたちが集まり、体操カードにスタンプを押してもらうことや最終日にもらえる参加賞を楽しみに参加していた方も多いでしょう。
そうしたことに鑑みると、現在は、やはり、以前より、夏休みのラジオ体操は減っているというのは事実であるといえるのかもしれません。

一方で、だるい、しんどい、面倒くさいと思いながら参加していた方もいらっしゃるでしょう。
なお、夏休みのラジオ体操の実施率について、実は、明確なデータはありません。
ただ、小学校におけるラジオ体操の実施率については簡易保険加入者協会の調査しており、それによりますと、2004年度の76.4%から2020年度には63.2%へと大幅に減少していることがわかってきています。
夏休みのラジオ体操がなくなった・減った理由

では、夏休みのラジオ体操は、なぜなくなったのか、もしくは、なぜ減ったのかを述べていきます。
週8回もラジオ体操を活動している私は、夏が近づくと、ほぼ毎日のように、夏休みのラジオ体操について、いろいろな人と話します。
いろいろな人が話してくれた意見なども交えながら、詳しく考察していきたいと思います。
詳しく見ていきましょう。
少子化により参加する子どもが減っている
日本では子どもの数が年々減少しています。
子どもがいないという集落も多くなっています。
以前であれば、公園に多くの子どもたちが集まり、にぎやかに体操を行う姿が見られたかもしれませんが、現在では、子どもが少なく子どもの参加数のも少ないために、開催する意義を感じにくいと考える地域もあります。
私が、通年にわたって、開催しているai彩ひろばラジオ体操会に参加している人に話を聞きました。
すると、「自分の住んでいる集落に、小学生は2人しかおらず、数年前からラジオ体操はなくなった」とのことでした。
少子化で、自然と夏休みのラジオ体操が無くなった地域は、少なくないでしょう。
もちろん、参加人数が少ないからといって価値がなくなるわけではありません。
しかし、運営側からすると、準備や当番などの負担とのバランスを考慮し、取りやめを考えざるを得ないと考えるのが現実といえるのかもしれません

一方で、子どもの多い地域でも、ラジオ体操が実施されなくなっているという声も多いです。深掘りしていきます。
保護者や役員などの負担が大きい
ラジオ体操は毎朝10分ほどの行事ですが、その裏では多くの準備が行われています。
例えば、
- 会場の手配・使用申請
- ラジオや音響機器の用意
- 出席カードへのスタンプ押し
- 景品や参加賞の準備
- 当番の割り振り
- 雨天時の対応
- 安全管理
など、多くのことを考えねばならないのです。
夏休み期間中、毎日開催する場合、これらを約1か月近く続けることになります。
以前でしたら、地域全体で役割を分担することができたのかもしれませんが、現在では共働き家庭の増加や地域コミュニティの希薄化、子ども会の解散などの影響もあり、主催をする保護者や役員の負担が大きくなっています。
通年のラジオ体操会を主催している私の知人(1級指導士)の例ですが、保護者や子ども会役員の負担を考慮して、夏休みのみ、子ども会と共催でラジオ体操会を開催している事例もあります。
通年のラジオ体操会を開催している団体・個人がいれば、連携することにより、保護者や役員の負担を軽減できる可能性があります。
非常にいい事例だと思います。
一方で、参加する側についても、やはり、課題があります。
参加者が少なければ、主催者も、ラジオ体操をやらないという判断をせざるを得ないでしょう。
そこで、次です。
共働き家庭の増加で参加しづらくなった
近年、共働き世帯が増えて、家庭の生活スタイルも大きく変化しました。
保護者が朝早くから仕事へ向かう家庭では、「子どもだけで参加させるのは心配」「付き添う時間がない」という理由から参加を控えるケースがあります。
一方で、子どもの頃に夏休みのラジオ体操を経験してきた中高年世代からすると、

ラジオ体操は、1人で行っていた。役員以外の保護者には負担はかからないだろ!
と思う方もいるかもしれません。
確かに、昔は近所の子どもたちだけで公園へ行くということが一般的だったのかもしれません。
しかし、現在では、防犯意識が高まり、保護者の考え方も変化していると考えられます。
夏休み中は登校日ではないため、早朝に子どもだけで外出することを不安に感じる家庭もあります。
また、交通事故や不審者対策など、安全管理の責任が以前より重くなっていることも、開催が難しくなっている理由の一つです。
私が主催しているde愛ひろばラジオ体操会では、夏休みに限らず、小学生や未就学のお子さんが来られます。
ただ、どのお子さんも、保護者の方と一緒に来られています。
「子どもだけで外出をさせたくない」という保護者の方の思いも、十分に理解できます。
騒音の苦情が寄せられた
近年では、ラジオ体操の音楽や参加者(子ども)の声について、「朝早くてうるさい」といった苦情が寄せられ、開催方法を見直す地域もあるようです。
確かに、ラジオ体操は午前6時30分から始めるのが一般的であるため、勤務形態の多様化により夜勤明けで休んでいる方や小さな子どもがいる家庭など、生活リズムが異なる住民への配慮が求められるようになりました。
私の周囲で、騒音の苦情への対応が厳しく、開催そのものを中止にしたという事例はありませんが、報道などではそうした事例が紹介されているので、心苦しい限りです。
騒音については、様々な工夫をしているところが多いです。
例えば、前出の1級指導士のラジオ体操会では、住宅地から近い公園ではなく、少し離れた広場で体操を実施されていて、ラジオ体操の音楽が住宅に聞こえないようにする工夫をされています。
また、私のde愛ひろばラジオ体操会は、開催時間を、少し遅めにして、実施しています。
地域にはさまざまな生活スタイルの方が暮らしているということを前提に、お互いに配慮しながら続けられる方法を考えることが大切といえるでしょう。
コロナ禍をきっかけに再開できなかった
新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの地域で夏休みのラジオ体操が中止となりました。
感染拡大防止のためにはやむを得ない判断だったかと思いますが、その後も役員不足や運営体制の変化などから、再開できないまま現在に至っている地域もあります。
私も、「コロナを機に、ラジオ体操が廃止となり、以後、再開されることはなかった」という声をよく聞きます。
一度中止になると、それまで運営を支えていた人たちが交代したり、ノウハウが引き継がれなかったりすることがあります。
その結果、夏休みのラジオ体操を再開しようとしても、以前と同じように開催することが難しくなってしまったというケースもあるでしょう。
ここまで、夏休みのラジオ体操が減少している理由について考察してきましたが、他に
・猛暑や熱中症対策
・子どもにおける夏休みの過ごし方の多様化
なども、理由として挙げることができるでしょう。
1つの要因ではなく、前述した様々な要因が複合的に絡みあって、夏休みのラジオ体操がなくなった、もしくは、減少したと考えるべきです。
私がラジオ体操を残したい理由~1級ラジオ体操指導士としての想い~

時代の変化ともいえる理由により、夏休みのラジオ体操がなくなったり減ったりしていることは、残念ながら、事実です。
中には、「夏休みのラジオ体操などいらない!」と考える人もいるかもしれません。
しかし、決してラジオ体操そのものに価値がなくなったわけではありません。
1級ラジオ体操指導士で2つのラジオ体操会の代表、そして、ラジオ体操優良団体等表彰地方表彰を受賞したわたくし、なんとしても、子どもたちに夏休みのラジオ体操を経験してほしいと思っています。
私は、ラジオ体操会をはじめ、様々な形でラジオ体操の普及・推進を行っていますが、その中で改めて感じるのは、ラジオ体操には運動以上の価値があるということです。
もちろん、夏休みのラジオ体操について、運動・健康面においては、
- 運動習慣が身につく:夏休み中も毎朝体を動かすことで、運動を生活の一部として習慣化しやすくなる
- 生活リズムが整う:早起きするきっかけとなり、規則正しい睡眠・起床習慣を維持しやすくなる
- 全身をバランスよく動かせる:肩・脚・体幹など全身をまんべんなく使うため、柔軟性やバランス能力の維持・向上につながる
- 運動不足の解消に役立つ:夏休み中は活動量が減りがちだが、毎日のラジオ体操が適度な身体活動の機会になる
- 基礎体力づくりにつながる:継続して行うことで、筋力や持久力、身体を動かす基礎的な能力を養うきっかけになる
- 姿勢や身体の動かし方を学べる:正しいフォームを意識することで、姿勢の改善や効率的な体の使い方を身につけることができる
といったメリットはあるでしょう。
しかし、運動・健康面以外の価値こそが、重要だと私は思っています。
詳しく述べます。
ラジオ体操は「体操」だけではない
夏休みのラジオ体操は、子どもたちが体を動かすだけの行事ではないと考えています。
毎日、地域の公園や広場に集まることで、地域住民などと顔を合わせ、「おはようございます!」と自然にあいさつを交わす機会が生まれます。
また、子どもだけでなく保護者や高齢者など、様々な世代が一緒に参加することで、学校や家庭だけでは得られない異世代交流の場にもなります。
こうした地域とのつながりは、子どもたちに安心感や地域への愛着を育むきっかけとなるのではないでしょうか。
そして、出席カードにスタンプを集めたこと、最終日に参加賞をもらったことなど、夏休みのラジオ体操は大人になっても心に残るかけがえのない思い出となります。
大人の方の中には、ラジオ体操が夏休みの思い出だと感じている方も少なくないと思います。
こうした経験は、運動や健康面だけでは測れない、夏休みのラジオ体操ならではの大きな価値なのです。
ただ、今は楽しくないと来ない
もちろん、こうした価値があるからといって、子どもたちが自然に集まるわけではありません。
今の子どもたちは、習い事やスポーツ、ゲームなど、様々な選択肢に囲まれています。
そのため、子どもは、相対的にあまり楽しくなさそうなラジオ体操に参加したいとは思わないでしょう。
だからこそ、ラジオ体操にも「楽しさ」という要素が必要となります。
友達と会えること、みんなで体を動かすこと、出席カードや参加賞、小さなイベントなど、「また明日も行きたい」と思える工夫があってこそ、子どもたちは初めて足を運ぶようになります。
私は1級ラジオ体操指導士として、正しい動きを伝えることはもちろん大切ですが、それ以上に「ラジオ体操って楽しいね」と感じてもらえる時間を作りたいと思っています。
しかし、主催しているラジオ体操会において子どもの参加が少ない以上、少なくとも私の周辺では、まだ、子どもには「ラジオ体操って楽しいね」と思ってもらえていないというのが、現状です。
ラジオ体操の楽しさが、運動習慣や地域コミュニティの活性化につながり、ラジオ体操を未来へ引き継ぐことに資すると思いますので、その点は、今後の私の課題です。日々、追求していきます。
昔と同じ形に戻す必要はない
実は私、「昔のようにラジオ体操を毎日開催しなければ意味がない」とは思っていません。
(もちろん、夏休み期間においても、私は、2会場で、週8回実施は継続しますが・・・)
社会は変わりました。生活スタイルも変わりました。
だからこそ、ラジオ体操も時代に合わせて変わっていけばいいと考えています。
例えば、
- 夏休み最初の1週間だけ開催する
- 土日だけ開催する
- 親子で参加できるイベント形式にする
- 地域のお祭りや健康イベントと組み合わせる
- 通年の(高齢者の)ラジオ体操会と合同で開催する
といった形式も有りだと思っています。
こうした新しい形でも、ラジオ体操の価値は十分に伝えられます。
大切なのは、「昔と同じように続けること」ではなく、「無理なく続けられる方法を見つけること」ではないでしょうか。
2028年ラジオ体操100周年。その先の未来へ
2028年にラジオ体操は誕生から100周年という大きな節目を迎えます(今のラジオ体操は三代目)。
ラジオ体操が100年もの間、世代を超えて受け継がれてきたことは、非常に貴重なことです。
戦時中においては戦争遂行の手段として使われた側面は否定できませんが、それでもラジオ体操は多くの人々の健康づくりを支え、暮らしの中に根付いてきたことは言うまでもない事実です。
三代目のラジオ体操第1は1951年(昭和26年)から、ラジオ体操第2は1952年(昭和27年)より放送されています
しかし、私が本当に願っているのは、「100周年を盛大に祝うこと」ではありません(100周年記念イベントも企画はする予定ですが…)。
大切なのは、その先の100年もラジオ体操が多くの人に親しまれ、子どもたちや地域の人々へ受け継がれていくことだと考えています。
人と人とのつながりが希薄になりつつある今だからこそ、ラジオ体操の価値はさらに高まっているのではないかと感じています。
子どもを含めた地域住民に愛される楽しいラジオ体操会を目指して、今後も活動をしていきます。
de愛ひろばラジオ体操会・ai彩ひろばラジオ体操会について

私は、滋賀県の草津川跡地公園de愛ひろば及びai彩ひろばで、以下の通り、通年のラジオ体操会を開催しております。
※もちろん、関係機関(公園・行政)に申請のうえ、許可を得ている活動となります。
※イベント開催時や動画収録時など、著作権の処理が必要な場合は、適切に対応をしています。
de愛ひろばラジオ体操会、及び、ai彩ひろばラジオ体操会は、夏休み期間も変わらず開催します。
夏休みのラジオ体操が近くで開催されていないとお悩みの方は、よろしければ、ご参加いただけますとうれしいです。
体操会の運営や参加賞の配布などは、全て、こちらで担うので、保護者や役員の負担を求めることはありません。
ただ、早朝開催ではないために、真夏は暑さが厳しくなっています。熱中症対策のうえ、お越しください。
なお、2026年度は、8月22日(土)<予備日8月23日(日)>に参加賞を配布します。お子さんにも配布しますので、ぜひ、ご参加ください。
早朝の騒音対策に加えて、事故などが発生した場合に公園事務所と連携して対応することを目的に、当体操会は、早朝に実施していません。
早朝開催でないため、むしろ、参加しやすいという声も多いので、今後も、時間は変更せずに実施していきます。
詳細は、ラジオ体操会のホームページをご覧ください。
最後に

夏休みのラジオ体操は、かつてのように毎日開催される地域が少なくなり、その形は時代とともに変化しています。
しかし、それはラジオ体操の価値が失われたからではなく、社会や地域を取り巻く環境が変わった結果です。
私は1級ラジオ体操指導士として、これからも正しいラジオ体操を伝えるだけでなく、「ラジオ体操って楽しい」と思っていただけるような活動を今後も続けていきます。
子どもたちにとっても、ラジオ体操が夏休みの楽しい思い出になるように努めたいと思います。
なお、子どもへのラジオ体操の普及・推進は、ラジオ体操の普及団体としても大きな課題として認識されています。
普及団体の株式会社かんぽ生命保険やNPO法人全国ラジオ体操連盟は、全国小学生ラジオ体操コンクールを開催して、小学校などで、楽しみながらラジオ体操に取り組んでもらえるような工夫もされています。
ポケモンとの連携(かんぽ生命)やラジオ体操ジュニアリーダーの育成(ラジオ体操連盟)、小学校の先生や子ども会関係者を対象としたラジオ体操指導者講習会への講師派遣支援(加入者協会)といった事業も、やはり、背景には、子どもへのラジオ体操の普及・推進があります。
子どもへのラジオ体操の普及・推進は、私のような現場の指導士も含めて、業界として取り組んでいることを知っていただけたらと思います。
