ラジオ体操関連

著作権侵害にならないラジオ体操のライブ配信のやり方!

ラジオ体操のライブ配信をする人

皆さん、こんにちは。”博士”こと1級ラジオ体操指導士の橋口でございます。

私は、毎週火曜日の午前6時50分から、「ラジオ体操家族ラジーン」のYouTubeチャンネルにて、ラジオ体操のライブ配信を実施しております。

ライブ配信を視聴される方はあまり多くありませんが、継続が大切だと思い、毎週、1人でがんばっております。

このように記載をすると、以下のように思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ラジオ体操のライブ配信は著作権侵害になるのではないか。

確かに、そのように思われることも、重々承知しております。

しかしながら、私は、著作権、ならびに、著作隣接権を侵害しないようにライブ配信を実施しております

では、どうやったら、著作(隣接)権を侵害せずに、ラジオ体操のライブ配信を実施できるのかということが疑問になるかと思います。

当記事では、著作(隣接)権を侵害せずに、ラジオ体操のライブ配信を実施する方法をお伝えします

この記事を見てわかること

  • ラジオ体操第1とラジオ体操第2の著作権について
  • JASRACの利用包括契約について
  • 著作隣接権について

以上の通り、少し難しい話題になりますが、ラジオ体操以外のライブ配信でも応用できる内容となっております。ぜひ、最後までお読みいただけると幸いです。

私が行っているラジオ体操LIVEについて

こちらは、2023年8月1日(火)に私がYouTubeで行ったラジオ体操のライブ配信です(ライブ配信ですので、トラブルもいくつか発生しています)。

OBS Studioという配信ソフトを使って、ライブ配信を行っております。

私が行っているラジオ体操のライブ配信の流れは、概ね、以下の通りです。

ライブ配信の流れ

  1. あいさつ・イベント等のお知らせ
  2. ラジオ体操ワンポイントレッスン
  3. ラジオ体操第1・ラジオ体操第2
  4. ラジオ体操クイズ

BGMを多用していますが、BGMは全てフリー素材です。後ほど述べる著作権・著作隣接権のことを考慮した場合、BGMはフリー素材にした方が楽なのです。

ただし、ラジオ体操については、フリー素材というわけにはいけません。そこで、次に、ラジオ体操の楽曲と著作権の関係について見てまいります。

ラジオ体操と著作権

体操をする2人の女性

著作権とは、著作物を創作した者が有する権利です。めんどくさい権利だと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、著作権は文化の発展にもかかわる大切な権利となります。

著作権の保護期間は、原則、著作者の死後70年ということになります。

ラジオ体操は?

現行のラジオ体操の著作者(作曲者)について見ましょう。

まず、ラジオ体操第1の作曲者は服部正氏です。2008年8月に亡くなりました。
また、ラジオ体操第2の作曲者は團伊玖磨氏です。2001年5月に亡くなりました。

したがって、第1・第2の作曲者ともに、死後70年は経過していないことがわかります。

ただし、音楽の著作権については、著作者ではなく、別の主体が委託管理をしていることが多いです。JASRACという名前を聞いたことがあるかと思いますが、JASRACは、まさに、音楽の著作権を管理している団体です。


では、三代目(現行)のラジオ体操第1・第2の著作権はどのように管理されているのでしょうか。以下の通りとなります。

楽曲著作権を管理している団体所有内容
ラジオ体操第1 伴奏曲株式会社かんぽ生命保険全ての著作権に関すること
ラジオ体操第2 伴奏曲株式会社かんぽ生命保険・NHKならびにJASRAC著作権のうち放送に関することはかんぽ生命とNHK、それ以外はJASRAC
かんぽ生命保険HPをもとに作成

ラジオ体操の著作権に関しては、全てJASRACが管理しているわけではありません。

初代ラジオ体操を策定した逓信省・簡易保険局からの流れを有するかんぽ生命保険が、著作権の管理に関わっているのです。

楽曲を利用するには、著作権を管理している団体に申請が必要な場合があります。

ラジオ体操をYouTubeなどでライブ配信をする場合、申請は必要なの??

ラジオ体操のライブ配信に申請は必要?

桜の下で体操をする人々

著作権によって保護されている楽曲をインターネットにアップする場合、営利・非営利にかかわらず、本来ならば、JASRAC等への申請、もしくは、著作者への承諾を得なければなりません。

たとえ、非営利であっても、申請が必要です。

しかしながら、JASRACが管理している楽曲については例外があります。ということで、まずは、放送に関する事柄以外の著作権をJASRAC管理しているラジオ体操第2から見ていきましょう。

【ラジオ体操第2】JASRACとの利用許諾契約

ラジオ体操ライブをしている人

JASRACと利用許諾契約を結んでいるUGC(User Generated Contents)サービスに関しては、JASRACに申請をせずに、JASRAC管理楽曲等のアップロードが可能になります

動画投稿・配信サービスに絞って、例示をしましょう。

  • YouTube
  • Instagram
  • Facebook
  • ニコニコ動画
  • ツイキャス
  • Twitch などなど

有名な動画投稿・配信サービスについては、たいてい、JASRACと利用許諾契約を結んでいます

ラジオ体操第2のライブ配信は、JASRACと利用許諾契約を結んでいるサービスに限り、可能ということになります

ラジオ体操第2のYouTubeライブ・インスタライブなどは、著作権の観点から見ると、問題ありません。

【ラジオ体操第1】かんぽ生命保険独自ルール

ラジオ体操のライブ配信をする人

では、JASRACではなく、かんぽ生命保険が著作権を所有しているラジオ体操第1はどうでしょうか。

こちらについては、かんぽ生命保険が独自に定めているルールに注目しましょう。

著作権法に関わらず、当社で定めた下記項目に該当する場合は、申請の必要はありません。

  • 自治体が主催するイベントで使用する場合
  • スポーツイベント等で参加者の準備運動として使用する場合
  • 職場において従業員の健康増進を目的として始業前や昼休みなどに使用する場合
  • 個人が動画投稿サイトへラジオ体操第一を行っている動画をアップロードする場合
かんぽ生命保険HPより引用

かんぽ生命は、ラジオ体操の楽曲利用に関して、以上のような独自ルールを定めています。

その中で、一番下にあるルールに注目です。「個人が動画投稿サイトへラジオ体操第一を行っている動画をアップロードする場合」は申請の必要がないのです。

ラジオ体操第1のライブ配信は、このルールを適用して、申請なしに行ってよいと解釈してOKです。というのも、ライブ配信は、データを投稿サイトのサーバー(例:YouTube・Instagram等)にリアルタイムでアップロードすることを意味するからです。

したがって、ラジオ体操第1のライブ配信も問題ありません

ラジオ体操のライブ配信は、著作権侵害にはならない場合がほとんどであることを確認しました。しかしながら、著作権だけでなく著作隣接権も考慮する必要があります。

著作隣接権の侵害には十分に注意を

桜の下で体操をする人々

著作隣接権とは何かご存じでしょうか。著作権という言葉と比べると、あまり聞き馴染みがないと思いますので、まずは、文化庁のHPの説明を見てみましょう。

著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者(実演家,レコード製作者,放送事業者及び有線放送事業者)に与えられる権利

難しいことが書いているので、簡単に言いますと、歌っている人や演奏をしている人(実演家)、及び、CDやレコードをつくっている人(レコード制作者)などにも権利があるということになります。

したがって、自分以外の誰かが演奏している音源だったり、自分以外の誰かが制作したCDは、勝手に使えないということになるのです(保護期間は70年)。

※放送関連は50年。

ただし、著作隣接権を気にする必要があるのは、ライブ配信を含むインターネットへのアップロードが中心となります。

そのため、例えば、イベントステージにおいて、購入したCDを流すという行為は、問題にはなりません(一方で、著作権は考慮する必要はありますが…)。

皆さん、ラジオ体操のライブ配信をするとき、CDやYouTubeの音源を使っていないでしょうか?幅しげみ先生や大久保三郎先生が演奏をしているラジオ体操音源を使っていないでしょうか?

仮に、利用していたら、著作隣接権を侵害しているということになります。

ただし、もちろん、許可を得ているようであれば利用可能ですが、許可を得ることは限りなく困難でしょう。

様々な配信を見ていて、著作権は問題なくても、著作隣接権を侵害している例は、随所に見られますので、要注意です。

自ら音源をつくる必要がある

ラジオ体操をする人々

では、ラジオ体操のライブ配信をするとき、著作隣接権を侵害しないようにするには、どうすればいいでしょうか。以下のように対応すれば問題ありません。

  1. 自分でラジオ体操を演奏する
  2. 自分でラジオ体操の音源を制作する

かなりハードルが高いですが、自分で演奏、もしくは、制作をした音源でないと、ライブ配信には利用できないということになります。

私は、ピアノを弾くことはできませんので、自分で音源を制作しました。音楽制作ソフト、いわゆる、DAWを用いて、楽譜情報を全て入力、さらに、テンポを調整して、ちょっとしたアレンジを加えると、完成。

私は、元テレビ体操・ラジオ体操ピアノ伴奏者の名川太郎先生のファンでしたので、名川先生のピアノ演奏に近づけました。

DAWの画面
私はCakewalk by BandLabで制作しました

ピアノを弾くことができない方は、DAWでラジオ体操音源を制作してみてください。

ただし、テンポには、細心の注意が必要です。体操でございますので、少しテンポが速い、もしくは少しテンポが遅いだけで、かなりの違和感を覚えることになります。

私のような1級ラジオ体操指導士でしたら、テンポについては感覚で設定できると思いますが、普通の方は、おそらく、テンポの設定にはかなり苦戦をすると思います(楽譜にテンポについての詳しい記載はありません)。

ラジオ放送やYouTubeでアップされている公式動画を参照に、テンポを調整してみてください。

楽譜はNHKから取り寄せを

ラジオ

ピアノ演奏をするにせよ、音源を制作するにせよ、楽譜が必要となります。

楽譜を入手する方法はいくつかありますが、おすすめは、NHKから取り寄せることです。ラジオ体操第1の楽譜はかんぽ生命保険のHPよりダウンロードできますが、ラジオ体操第2の楽譜はダウンロードできません。

それ故に、ラジオ体操第1とラジオ体操第2の双方の楽譜を、まとめて、NHKから取り寄せることを私はおすすめします

封書で、「ラジオ体操・テレビ体操」担当に申し込みをお願いします。

まとめ

体操をする4人の人

長々と述べてしまいましたので、ラジオ体操のライブ配信についてまとめましょう。

まとめ

ラジオ体操第1のライブ配信
→個人で行う場合は、基本的に問題ない

ラジオ体操第2のライブ配信
→JASRACと利用許諾契約を結んでいる配信サービスの場合、問題ない

ただし、ラジオ体操の音源は、自分で演奏、もしくは、制作をしたものでなければならない。

ラジオ体操のライブ配信をするにあたり、障壁になるのは、やはり、ラジオ体操の音源を自らつくるということになるでしょう。

私がYouTubeで行っているライブ配信においても、自らDAWで制作したラジオ体操音源を利用しています。著作隣接権を侵害しないように、十分に注意しましょう。

なお、当記事執筆者で1級ラジオ体操指導士・橋口主催のラジオ体操ライブは、毎週火曜日の午前6時50分から「ラジオ体操家族ラジーン」のYouTubeチャンネルで行っております。ぜひ、ご覧ください。

  • この記事を書いた人
体操をするキャラクター

一般社団法人ラジーン

「ラジオ体操を通じて人を繋ぎ、幸せの原点を手に入れる」ことをミッションに活動中。
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